世界の紫、紫の世界
紫色は昔から高貴な色として用いられてきました。日本では冠位十二階の最高位大徳・小徳は紫色の冠と決められていたといいます。その後も藤原鎌足が叙せられたとされる最高位の冠・大織冠も深紫色であり、平安時代以降は最上級の公家しか着用できない「禁色」として扱われていました。
古代ローマにおいても高貴な色として扱われており、特別な儀礼の際に皇帝や将軍が着るトガ・ピクタは赤紫の布を金で装飾したものでした。古代ヨーロッパではよく用いられた紫はシリアツブリガイという貝の分泌液から生成されたもので、非常に貴重なものでした。この影響で、王家に生まれたこどもを「紫色に生まれた」という言い回しもあります。
古代の中国において紫は北極星と結びつけられていました。古代中国の天文学では天の星を3つに分け、そのうちの紫微垣の中心が北極星であるとされました。このため北極星を神格化した紫微大帝という言葉もあります。紫微垣は星の中の皇帝である北極星が住む場所ということから、「紫禁城」の名の由来ともなりました。また紫色の雲が縁起の良いものとして扱われていました。
いつ頃から紫色がこのような扱いを受けていたのかはわかりませんが、もっと昔には紫色は非常に重要な存在だったという仮説があります。生物が光合成を始めた頃は、葉緑素とよばれる緑色のクロロフィルではなく、レチナールという紫色の色素を使っていたというものです。これは「紫色の地球仮説」というもので、その頃には地球全体が紫がかった色をしていたのではないかというものです。なにかのきっかけで進化の方向が変わっていれば、緑の地球ではなく、紫の地球だったかもしれません。

紫色の地球のイメージ(wikimedia commons)
歴史のある紫色ですが、現在の国旗ではほとんど使われていません。紫色を使った国旗は中米のドミニカ国とニカラグアのみで、しかも旗の中の紋章の一部分という非常に細かいところです。特にニカラグアはよく見ないと全くわかりません。日本では東京都・群馬県・山梨県・京都府の旗が紫色ベースとなっています。
ドミニカ国国旗(wikimedia commons)
ニカラグア国旗(wikimedia commons)













