某社の都 NO.4

【この物語はフィクションです。】

コンペの説明をする前に、五星グループについて説明する必要があるだろう。

≪五星総合商社≫
景気が低迷する日本において、唯一と言っていい程の膨大な利益を上げ、右肩上がりで成長し続けている巨大な企業である。
元々は、小さな造船業から始まった。
小型船の製造を主な業務としていたが、先代社長『五星 耕三』(いつほし こうぞう)が亡くなり、後を継いだ息子の『大誠』(だいせい)により、大きな躍進を遂げる。
画期的なエンジンやパーツ、船を次々と開発し、そこで得た資金を元に大型船事業も開始。
また、船だけに留まらず、自動車産業や建設業などにも進出。
あらゆる製造メーカーを次々に買収し急成長。
宇宙事業にまで手を伸ばした。
さらには、金融、医療、介護、教育、食品、観光事業など、国内のありとあらゆる産業に参入しており、もはや五星無くしてこの国は成り立たないと言われる程の最大級の企業へと成長したのだ。

そんな五星総合商社には、当然の如く全国に支社が存在する。
また、拡大した事業を円滑に運営するため、産業毎に複数の子会社も設立。
その子会社の下に、さらに子会社を作り、鼠算式にグループ企業を増やしていった。
渡丸の務める株式会社五星テクノファージもそんな子会社の一つなのだが、グループ会社と言っても五星総合商社との繋がりはほぼなく、例えるなら、顔も名前も知らない、会ったこともない遠くの親戚の様な関係性なのだ。

唯一の接点は吉田の言うコンペである。
五星総合商社は、企業の発展と人材の発掘を兼ねて、一年に一度大掛かりなコンペを開催している。
そのコンペには、グループ会社の社員なら誰でも参加することが出来、みな自由な発想で思い思いのアイディアや企画を出し合う。
なにしろ全国から数えきれないほどの応募があるため、まずは自分の企画を資料としてコンペの開催委員会に送り、その資料を基に書類選考が行われ、選ばれた優秀な企画を提出した者だけが、コンペの舞台に立ち、役員を始めとした五星総合商社の社員の前でプレゼンを行うことが出来る仕組みになっている。
そこまで到達出来るのは、毎年極僅かな者しかおらず、年によっては誰も選ばれないことすらある。
それはまるで、非常に険しい断崖絶壁を登るようなようなものだが、もしコンペまでたどり着けると、五星総合商社の支社への昇格が期待でき、最優秀な企画ともなれば、五星総合商社本社への移動もあり得るため、一獲千金を夢見る者たちが毎年しのぎを削るのだ。

そんな頂上の見えないコンペに参加し、上に行こうと考えている吉田をみて、渡丸は呆れて言葉を失った。

「先輩、もしかして知らないんっすか!?年に一度行われる、五星グループ全社合同のコンペっすよ!」と力説する吉田。
「もちろん知ってるけど、参加してどうする気だ?」と渡丸が返事する。
吉田は目に力を込めて「だから上を目指すんすよ!」とさらに続ける。
「このコンペに参加して、もし本社プレゼンまで行ければ、今よりも給料アップは間違いなし!それどころか、この会社よりももっと本社に近いグループ会社とか、もしかしたら支社に行けるかもしれないんよ!!」
さらに目を輝かせて「さすがに最優秀は無理でもなんとかコンペの本線まで行ければ…」と天井を見つめて、輝かしい未来を想像する吉田。
その様子を見て、渡丸はため息を一つついた。
「あのなぁ…。もっと現実を見ろよ。俺達みたいなただの平社員には、到底登れない山みたいなもんだぞ。」
「そんなの、やってみないと分からないっすよ!」と詰め寄る吉田に、渡丸は「いや、分かる。だって、山形さんだってダメだったんだぞ」と冷静に返事を返した。
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